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FactorISM 2026 参加レポート第二部:市長会談と、まちこうばの観光

→ イベント公式サイト:FactorISM 2026〜アトツギたちの文化祭〜

初日のレポートの後編です。前編(第一部)では会場の様子とupCRAFT OSAKAのセッションを紹介しました。後編では、3市長によるトップ会談と、夜の基調講演・トークセッションをまとめます。

市長トップ会談:行政は「つなぐ役」

オープニングでは、八尾市・門真市・堺市の3市長と友安実行委員長による「市長トップ会談 Beyond EXPO」が開かれました。友安さんは、この顔合わせそのものを「ミラクル」と表現していました。

市長トップ会談の様子
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話を聞いていて印象的だったのは、どの市長も行政を「主役」ではなく「つなぐ役」として語っていたことです。民間が自ら動くエネルギーを、行政が持つ信頼とネットワークでつないでいく。広がった要因としても、「企業が自分たちでやるという意気込み」が挙げられていました。

門真市長の言葉にもハッとさせられました。かつて問題とされた「住工混在」を「職住近接」と捉え直し、近所でお父ちゃん、お母ちゃんが働いている、子育てしながら働ける町として打ち出している。同じ事実も、言葉の選び方ひとつで弱みにも強みにもなるのだと思いました。

ひらいた先に、実際に「人」が動いた話もありました。昨年の来場者が参加企業に就職した例。友安さんの会社では、5年連続で通う幼稚園児が溶接の職人を「師匠」と呼び、この会社に入ると言っているそうです。八尾市長の「子どもたちにホンマモンを見せてあげてほしい」という言葉が、そのまま形になっています。

市長トップ会談(グラフィックレコーディング)
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基調講演・トークセッション:まちこうばを観光にする

夜の部は、全国の自治体で観光戦略に携わる永谷亜矢子さん(株式会社an)の基調講演「観光“未”立国から脱却する、まちこうばの真の価値」と、山本雄生さん・松尾泰貴さんを交えたトークセッション。これまで「産業振興」や「まちづくり」の文脈で語られてきたFactorISMを、「観光」という切り口から読み直す時間でした。

基調講演(グラフィックレコーディング)
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「見つけられない、来てもらえない、稼げない」

永谷さんの問題意識は、地域の魅力がデジタル上にほとんどないこと。調べても「パンフレットしかない」。AIで旅先を探す時代には、来訪者が職人の姿を撮った写真や動画をSNSに載せてくれることが、そのまま体験の評価になり、次の人を呼ぶ。一人旅や個人手配の旅が増えているのに、体験の受付が「2名から」のままの所が多いという指摘も、耳が痛いものでした。

そのうえで永谷さんは、FactorISMを「小さな産業革命であり、大きなリージョナルイノベーション」と評していました。熟練の職人が担うことそのものが非日常の価値になり、来場者の反応が働く人の誇りになる。BtoBが中心の会社でも、ファンや新しい取引、新規事業との接点が生まれる。産業観光は地方創生のど真ん中だ、と。

イベントをイベントで終わらせない

トークセッション(グラフィックレコーディング)
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トークセッションでは、FactorISM自身の悩みも率直に語られました。1日の短い体験で帰ってしまい、地域の本当の姿を知る前に終わってしまう。観光バスの大人数ツアーだと、受け入れられるのは大きな会社に偏ってしまう。

そこで出てきたのは、「泊まる」を設計に入れるという発想です。工場の一室に泊まれる。今日形を作って乾かし、明日仕上げる2日がかりのワークショップ。職人の作品を置いた宿に泊まった人が作品を買い、弟子入りまで生まれたという別の産地の例も紹介されました。さらに、1,000件を超えるワークショップはそれ自体が資産であり、価値や続けやすさで棚卸しして、月1回や週1回の常設に広げていくべきだ、という提案も。

小さいけれど実践的だったのは、Googleマップの話です。参加工場にピンを立てたマップが、実は公式サイトよりも見られている。口コミが増えた工場には、翌年予約が集まる。大きな仕掛けではなく、積み重ねが人を呼ぶということです。

持ち帰ったこと

一日を通していちばん心に残ったのは、松尾さんの「知られない仕事は、憧れられない」という言葉です。

町工場の担い手不足は、賃金や働き方だけの問題ではないのかもしれません。そもそも何をしているのか知られていない。知られていない仕事は、選択肢にすら上がらない。そして同じことは、中で働く人にも起きているのだと思います。毎日の仕事が誰かの目に触れ、「すごい」と言ってもらえたとき、はじめて自分の仕事の価値に気づく。工場をひらくことは、外に向けた発信であると同時に、内に向けた誇りの取り戻しでもあるのだと感じました。

もうひとつは、「1社では届かない」という現実を、登壇者の誰もが口にしていたことです。IoTも、工場見学も、人材育成も、単独では限界がある。だからまとまる。そして行政はその輪を外からつなぐ。FactorISMは、その役割分担を一つずつ積み上げながら、7年かけて35社を107社にしてきたのだと思います。

川口にも、先代から受け継いだ技術と、当たり前のようにそれを守り続けている人たちがいます。その「当たり前」を、外から発見してもらえる場をどうつくっていくか。八尾で受け取った問いを、地元に持ち帰って考え続けたいと思います。

FactorISM 2026は10月25日(日)まで開催中です。工場見学やワークショップの予約は公式サイトから。運営の皆さま、登壇者の皆さま、ありがとうございました。

2日目に町工場をめぐった記録は、第三部「町工場のまちを自転車で」にまとめています。

出典

出典:登壇者・プログラム内容はFactorISM 2026 プログラム。参加企業数の推移(35社→107社)は同プログラムおよび当日投影されたスライド。「5年連続」「1,000件を超えるワークショップ」など登壇者の発言に含まれる数値は、市長トップ会談 Beyond EXPO・基調講演・トークセッション(2026年10月22日)での発言を筆者が聞き取ったもの。グラフィックレコーディングは当日会場に掲示されたもの。

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